会社設立を自分でやる前に|検討すべきことを徳島の税理士が解説

会社設立を自分でやる前に検討すべきこと|徳島の税理士が解説

会社設立にかかる費用を少しでも抑えたい——そう考えて、専門家に頼まず自分で設立しようとする方は少なくありません。たしかに、自分で手続きをすれば、専門家への報酬は節約できます。

ですが、会社設立は「登記して終わり」ではありません。設立の前後には、事業目的の決め方、許認可の要件、税務の届出、社会保険の手続きなど、検討すべきことが想像以上にたくさんあります。これらを一つでも見落とすと、後になって「あのとき確認しておけば」と後悔することにもなりかねません。

この記事では、徳島で60件以上の会社設立・創業支援に携わってきた税理士の立場から、自分で会社設立をする前に検討しておきたいことを、実際の失敗例も交えて整理してお伝えします。

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会社設立は自分でもできる。ただ、事前に検討すべきことは想像以上に多い

会社設立は登記して終わりではなく事前に検討すべきことが多いことを示す図

会社設立は、専門家に頼まず、自分の手で行うことも十分に可能です。

法務局のウェブサイトや市販の書籍、設立支援のツールなどを使えば、定款を作り、登記申請を行い、会社を立ち上げること自体は、時間と手間をかければできます。費用を抑えたい方にとって、自分でやるという選択は、決して間違いではありません。

ただ、ここで知っておいていただきたいのは、会社設立は「登記が終われば完了」ではない、ということです。登記の前には、会社の基本事項をどう決めるか、許認可が必要な業種ならその要件を満たせるか、といった検討が必要です。そして登記の後にも、税務署や自治体への届出、社会保険の手続きなど、やるべきことが続きます。

これらは一つひとつが、判断を要する事柄です。そして、その判断を誤ると、後になって「知らなかった」では済まされない不利益が生じることもあります。

この記事では、自分で会社設立を進める前に、どんなことを検討しておくべきかを整理します。そのうえで、自分でやるのに向いている方、専門家を頼ったほうがよい方の違いについても、正直にお伝えします。

自分で会社設立をするメリット

最初に、自分で会社設立をするメリットを確認しておきましょう。デメリットばかりを並べるのはフェアではありませんし、メリットを理解したうえで判断することが大切だからです。

自分で会社設立をするメリット|専門家報酬を抑えられる・設立の流れを理解できる

専門家への報酬を抑えられる

最大のメリットは、やはり費用です。設立手続きを司法書士や税理士などに依頼すると、その報酬が発生します。自分で行えば、この報酬分を節約できます。設立時の出費を少しでも抑えたい方にとって、これは大きな魅力です。

会社設立の流れを自分で理解できる

自分で手続きを進めると、定款には何を書くのか、登記にはどんな書類が必要なのか、設立後にどんな届出があるのか——こうした流れを、身をもって理解できます。会社の土台となる部分を自分で把握しておくことは、その後の経営にも役立ちます。

ただし、これらのメリットは、「検討すべきことを正しく押さえられた場合」に得られるものです。次の章で、その検討事項を見ていきましょう。

自分で設立する前に確認したい検討事項チェックリスト

会社設立にあたって検討すべきことを、設立の前後に分けて整理しました。まずは、これだけの項目があるということを、全体として眺めてみてください。

自分で会社設立する前に確認したい検討事項チェックリスト(準備・手続き・税務の届出・社会保険)

設立の準備段階で決めること

  • 会社の基本事項(商号・本店所在地・事業目的・資本金・決算期など)を決めたか
  • 事業目的は、将来の事業展開まで見据えた内容になっているか
  • 許認可が必要な業種の場合、その許認可の要件を、会社の設立事項(事業目的・本店所在地・資本金・人的要件など)が満たしているか
  • 資本金の額は、消費税の課税やインボイスの観点から適切か(1,000万円未満かどうかなど)
  • 決算期を、自社にとって有利になるように決めたか

設立の手続き

  • 定款を作成し、認証を受けたか(電子定款か紙の定款か)
  • 法務局へ登記申請を行ったか
  • 設立に必要な許認可の申請を、適切なタイミングで進めているか

設立後に必要な税務の届出

  • 法人設立届出書(税務署・都道府県・市町村)を提出したか
  • 青色申告の承認申請書を、期限内に提出したか
  • インボイス(適格請求書発行事業者)の登録が必要かを検討し、必要なら申請したか
  • 給与支払事務所等の開設届出書を提出したか
  • 源泉所得税の納期の特例を申請するか検討したか

設立後の社会保険・その他

  • 社会保険(健康保険・厚生年金)の加入手続きをしたか
  • 従業員を雇う場合、労働保険の手続きをしたか
  • 法人口座の開設、経理の仕組みづくりを進めたか

※このチェックリストは一般的な目安です。会社の業種や状況によって、必要な手続きや検討事項は異なります。実際の手続きは、必ずご自身の責任で確認するか、税理士などの専門家にご相談ください。

いかがでしょうか。「これだけの項目を、すべて漏れなく確認しなければならないのか」と感じた方も多いのではないでしょうか。

しかも、ここに挙げた一つひとつが、それぞれ奥深い検討を必要とします。たとえば「決算期を決める」という一見シンプルな項目でも、実は考えるべきことが多くあります。繁忙期を避けるという観点はもちろん、消費税の免税期間を最大限に活かせるか(インボイス登録の場合を除く)、在庫が少ない時期はいつか、といった税務上の観点からも、有利な決め方が変わってきます。決算期一つとっても、自社にとって最も有利な決め方が存在するのです。

なお、設立後の税務の届出については、それぞれ提出期限や注意点が異なります。各届出の詳しい内容は「【徳島 会社設立】届出の出し忘れで損しない!設立後30日でやることチェックリスト」で解説していますので、あわせてご覧ください。また、インボイス登録の判断については「会社設立したらインボイス登録は必要?判断基準を徳島の税理士がわかりやすく解説」で詳しく解説しています。

自分でやって後から困った——実際にあった失敗例

検討事項の多さは、項目を並べるだけでは実感しにくいかもしれません。そこで、自分で会社設立をした後に当事務所へ相談に来られた方の、実際にあった失敗例をご紹介します(個別の特定につながる情報は省いています)。

自分で会社設立して後から困った失敗例|青色申告の期限切れ・定款と許認可のズレ・登記場所の問題

青色申告の届出期限が過ぎていた

自分で設立した後、しばらくしてから相談に来られた方がいらっしゃいました。お話を伺うと、青色申告の承認申請書の提出期限が、すでに過ぎてしまっていたのです。

その結果、本来であれば受けられたはずの青色申告の特典を、1年目から受けることができませんでした。青色申告には、赤字を翌年以降に繰り越せるなどのメリットがありますが、設立初年度からそれを活かせなかったのです。期限を一日過ぎただけでも、取り返しがつきません。

定款の事業目的が、取りたい許認可と合っていなかった

格安の設立代行業者に依頼して設立した方の例です。後から建設業の許可を取得しようとしたところ、定款に記載された事業目的が、その許可を取るために必要な業種の内容と合致していませんでした。

許認可は、定款の事業目的が要件を満たしていないと、取得できないことがあります。定款を作り直すには、手間も費用もかかります。「とりあえず安く設立できればいい」と考えた結果、後で大きな回り道をすることになってしまいました。

登記した場所が、そもそも営業できない場所だった

福祉系の許認可が必要な業種にもかかわらず、本店所在地として登記した場所が、市街化調整区域に該当していたケースもありました。市街化調整区域では、建物の用途などに制限があり、その場所では、そもそも営業の許可が下りなかったのです。

会社の住所をどこにするかは、ともすれば軽く考えてしまいがちです。しかし、業種によっては、場所そのものが営業の可否を左右します。これも、事前に確認していれば避けられた問題でした。

これらはいずれも、「知っていれば防げた」失敗です。そして、自分で設立する方にとっては、「何を知っておくべきか」自体が分からない、というのが難しいところなのです。

自分でやるのに向いている人・専門家を頼ったほうがいい人

ここまで読んで、「では、自分でやるのはやめたほうがいいのか」と感じた方もいるかもしれません。ですが、そうとは限りません。自分でやることに向いている方も、確かにいらっしゃいます。正直に、その線引きをお伝えします。

会社設立を自分でやるのに向いている人と専門家を頼ったほうがいい人の違い

自分でやるのに向いている人

  • 時間に余裕があり、調べることが苦にならない人。手続きや制度を自分で調べ、理解して進められる方であれば、自分で設立することは十分に可能です。
  • 許認可が絡まない業種の人。前章の失敗例のように、許認可が関わると検討事項が一気に複雑になります。許認可が不要なシンプルな業種であれば、自分で進めやすくなります。

専門家を頼ったほうがいい人

  • 許認可が必要な業種の人。許認可の要件と、定款・本店所在地などの設立事項を整合させる必要があり、専門的な確認が欠かせません。
  • 本業が忙しく、手続きに時間を割けない人。調べながら進める時間が取れない場合、外注したほうが、本業に集中できて結果的に効率的です。
  • 設立後の税務まで見据えたい人。設立は、税務・経営のスタート地点です。最初の段階から専門家が関与することで、その後の節税や経営判断にもつながります。

自分の状況がどちらに近いかを考えて、判断していただくのがよいでしょう。

税理士だけでは解決できないことも——専門家の「ハブ」としての税理士

会社設立で税理士が果たすハブ機能|許認可は行政書士・登記は司法書士・社会保険は社労士へつなぐ

最後に、専門家への相談を考えるうえで、知っておいていただきたいことがあります。

会社設立に関わる検討事項は、実は、税理士だけですべて解決できるわけではありません。それぞれの分野に、専門の士業がいます。

  • 許認可に関することは、行政書士の専門分野です
  • 登記や法的な手続きは、司法書士や弁護士が扱います
  • 社会保険や労働保険の手続きは、社会保険労務士が専門です
  • そして税務は、税理士が担います

「では、それぞれの専門家を自分で探して、別々に相談しなければならないのか」と思われるかもしれません。たしかに、それは大変な作業です。

ここで、税理士が果たせる役割があります。中小企業にとって、税理士は最も身近な相談相手であることが多く、最初の相談窓口になりやすい立場です。実際、中小企業庁の小規模企業白書でも、企業規模を問わず、日常の経営相談の相手として最も多く挙げられているのは税理士・公認会計士です。また、日本税理士会連合会によれば、中小企業経営者の約7割が、顧問税理士などを経営問題の相談相手と考えているとされています。

つまり、税理士は「最初に相談する窓口」として、そこから必要に応じて、各分野の専門家へとつなぐ「ハブ」の役割を果たせるのです。会社設立のように複数の専門分野が絡む場面では、この機能が特に役立ちます。

当事務所では、社会保険労務士が事務所内に在籍しているため、税務と社会保険の手続きを一つの窓口でご相談いただけます。さらに、司法書士など他の専門家とも連携しているため、登記や許認可についても、適切な専門家へスムーズにおつなぎできます。「どこに相談すればいいか分からない」という段階でも、まずは当事務所にご相談いただければ、必要な専門家を含めて、全体を整理してご案内できます。

徳島で会社設立をお考えなら

当事務所では、徳島で60件以上の会社設立・創業支援に携わってきました。

  • 税理士×中小企業診断士のダブルライセンスで、設立後の税務はもちろん、事業計画や資金繰りまで見据えたアドバイスが可能です
  • 社会保険労務士が在籍しているため、設立後の社会保険の手続きまで、一つの窓口でご相談いただけます
  • 司法書士などの専門家とも連携しており、登記や許認可についても、適切な専門家へおつなぎできます
  • 徳島の地元で開業12年目。地元の事業環境や許認可の事情を理解したうえでサポートいたします

「自分でやるか、頼むか迷っている」という段階のご相談でも、まったく問題ありません。初回30分の無料相談(対面・オンラインいずれも対応)をご用意していますので、お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

逢坂剛税理士事務所 所長。税理士・中小企業診断士。徳島市で開業12年目。会社設立・創業支援から税務顧問、経営コンサルティングまで、税務と経営の両面からサポートしています。社会保険労務士も在籍しており、従業員の雇用に関するご相談もワンストップで対応可能です。

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